ブレインズ・タイムス第33号


 

 古代から人と深い繋がりのある、ひまわり、バラ、すみれ。ガ−デニングブ−ムの昨今、花にまつわる小さなスト−リ−をお届けします。  向日葵(仏:Tournesol 、英:Sunflower )の花を多数描いたのはゴッホだが、ゴッホ以前にもしばしば絵画に描かれている。中世にはひまわりは「太陽」「愛」「天上への憧れ」「信仰」などの象徴とされ、17世紀には「絵画芸術」そのものの象徴として用いられていた。ゴッホもこのような意味合いを知っていて、自らの愛や憧れを象徴するひまわりを多数描いたといわれている。
 薔薇(仏・英:rose )は紀元前から記録に残されている。 紀元前16世紀に描かれたと推定されるクレタ島のクノッソス宮殿の壁画を始めに、紀元前6世紀サッフォ−が詩に歌い、ギリシアやロ−マでは栽培が始まっていたとされる。赤いバラはアフロディ−テ(ビ−ナス)の象徴、白いバラはマリアの象徴として描かれることも多い。また紅白のバラは、イギリスの歴史、バラ戦争にも記録を残す。王位をめぐって30年間戦った両家の紋章が、ランカスタ−家は紅いバラ、ヨ−ク家は白いバラだったのだ。この戦いは、ランカスタ−家のヘンリ−VII世が勝利し、チュ−ダ−王朝が興された(紋章はチュ−ダ−ロ−ズという)。イラストは Dog Rose(Wild Rose Rosa canina)という一重咲き、薄いピンク色の可憐なバラで、西アジアからヨ−ロッパに広く分布する野生に近いバラ。
 菫(仏:violette 、英:violet )は古くから香りの花として好まれてきた。古代ギリシアでは、「よみがえる大地」の象徴され、その伝統がドイツから東ヨ−ロッパのすみれを「春の使者」とする春迎えの行事につながっている。香料原料としてエッセンシャルオイルを得るには、花ltから400gが得られるという。

ブランドうんちく講座   Altoids アルトイズ

 英国製のはっか錠剤(トローチ)のブランド名、商品名。ラテン語のaltus(高い)+薬品によく使われた―oidをつけて命名された。1780年の製造開始以来現在まで同じ製法が守られている。人工甘味料、人工香料は使っていない。1974年Queen's Award受賞。「The Original Celebrated Curiously Strong Peppermints Altoids」と印刷された缶がかわいい。個人的には缶が欲しくて買ったことも何回かあり、現在その缶はミニ針箱として重宝している。アルトイズ自らもジョーク混じりに空き缶利用法を伝えたりしている。アルトイズに使われているペパーミントは日本薄荷と同じ1―メントールを主要香気成分とするミント。歯磨きによく使われるスペアミントは1―カルボン(キャラウェイ様の香り)が主要香気成分となる。

1998年5月10日(平成10年) 発行

第32号   一覧へ戻る   第34号


top

Copyright (C) by LapinAgile