商品開発の裏側にはいろいろなドラマがあるものですが、新商品によって生活に新たなドラマが生まれることもあります。通信機器の発達もそのひとつ。時間の効率化以上に、「自分が主役」という使用者ひとりひとりの満足感がドラマを紡ぎ出しているようです。
携帯電話やPHSは自分の好きな時にかけ、受けたくなければ留守電やOFFにでき、電話の切り換えひとつで、仕事に夢中の私も、あなたに夢中の私も、作り出すことが出来る。いわば、電話の主導権は「私」。
家庭FAXのメリットは、電話で伝えにくかった地図を送付できる点が大きいよう。相手不在でも送り手側の都合で送信できる。そこで、葬祭場の地図つき訃報FAXが増加しています。つまり、伝達事項を、送り手の都合で「完了」出来る。
FAXは手紙より手短な挨拶、伝達内容重視の書き方を作り、さらにE-mailは相手からのメ−ルをコピ−してはりつけ、返答するという、欧米の契約型社会の手紙に似た形式を生み出しています。つまり、私とあなたの関係の確認、「契約」です。商品と密接な現代の生活では、ひとつの商品によって、私たちの生活や作法が大きく変化することもあるのだと感じさせる時代です。
CHINOISERIE シノワズリ（中国趣味）
15、6世紀の大航海時代、ヨ−ロッパに運ばれた東洋の品々を見た王侯貴族が熱中した「シノワズリ」。この（1997年）７月１日に行われたイギリスから中国への「香港返還」に対するジャ−ナリズム関心の高さもあって、ファッションや家具、インテリアグッズなどに、今、シノワズリが目につきます。チャイナカラ−やマオカラ−の服はデザイナ−たちが好んで作り、街行く人にもよく見かけます。来日したスーパー・モデルのリンダが着ていたのもシノワズリでした。そして光るサテン布地のチャイナプリントや刺繍も中国趣味的です。家具では、『FEFCO』に注目。上用賀にあるSHOP（tel:3708-7795）は洗練された清朝シノワズリで、ああ、この家具に似合う家が欲しいと思ってしまうのです。新宿伊勢丹インテリアコ−ナ−の『チャイナシ−ズ』はNYのデザイナ−が描くシノワズリの布が豊富。
杏仁豆腐
シノワズリのついでに、夏にさっぱりおいしい杏仁豆腐はいかが？
見かけは牛乳ゼリ−のように見える白い中華デザ−ト『杏仁豆腐』は、本式には生の杏仁（あんずの種核）をすり潰して上新粉の汁でのばして作るのですが、現在では、香りが似ていて、手に入りやすいア−モンドエッセンスとミルクで作られることが多いそう。おいしい杏仁豆腐をご存知でしたら、ぜひ教えてください。
ブランドうんちく講座 Herend ヘレンド
ハンガリーの名窯の名・ブランド名。1826年創業、繊細な手描きの美しさで知られる。高度な手描き技術を継承するため、ヘレンド付属の養成学校があり、ペインターを育成している。
1851年ロンドン万国博でヴィクトリア女王が購入した「ヴィクトリア」や、ハプスブルグ家御用達の「ウィーンのバラ」などの花柄のほか、シノワズリ柄にも優れたものが多く、中でも「清の花籠」は人気のあるデザイン。「敬い」を意味するこのモチーフは、中国からハンガリーに贈られた花籠柄の皿からリデザインされた。またHerendは比較的初期の頃から、18世紀に作られた有力王立窯の破損品を作り直し、補充するという仕事を貴族たちのために行っていた歴史もある。
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