ブレインズ・タイムス第52号


 

アムスの鳩.jpg


上の写真は、10月にアムステルダム植物園の垣根で見た鳩。
赤い実をついばむ鳩の姿は、寒い冬の日には、
命の温かさのシンボルのように見えます。



シンプルな暮らし

 たくさんの物に囲まれて暮らす生活を整理して、シンプルな生活をしたい、と考える人が増えているようだ。私の憧れもシェーカー教徒のような静謐な暮らし、といっても、写真もない、鏡も時計も持たないといった、「私物」を持たないシェーカーの暮らしを実践する覚悟はないのだけれど。
 物を捨てることの難しさは、思い出をどう整理するのか、ということに等しい。実際、整理がつかないまま置いてあるのは、大量の写真、古い手紙、祖父母の衣類や道具、新しいところでは子供の赤ちゃん服などなど、思い出に関わる物が多い。
 20歳の頃、祖父母から写真の整理を頼まれて、部屋ひとつ分の写真をアルバムに貼っていったことがある。祖母は自分でやっても遅々として進まないだろう作業とみて、私に頼んだのだけれど、私にとってもはじめて見るものも多いその作業はぜんぜん進展せず、写真にうずもれて呆然としたのだった。祖母はまた部屋の中に小さな写真や置物を配置して、花を飾ることも上手だった。そして、聞かせてもらった昔の暮らし方の贅沢さデリケートさは、今でも私をうっとりとさせる。思い出を大切にする気持ちと、シンプルな生活への憧れとの折り合いをどうつければ良いのか..

花束


 ところで、整理・片付け関係では図書の充実ぶりがすごい。本のamazonで調べたところ、売れ行き1は、「困ったガラクタ」とのつきあい方―ミラクル生活整理法 (ミシェル パソフ 著河出書房新社 1400円)という1冊。そのレビューには、「人生に必要な荷物なんてそうない。生活整理は人生ダイエットだ。ミラクル生活整理法の鉄則を公開し、リバウンドなしにガラクタを片付けて人生に奇跡と魔法を起こす一冊」とあった。でも、思い出はみんな胸の中にある、とまで割りきれない私は、この先もきっとジタバタ葛藤し続けるのだろう。

不思議を楽しむ(2)

Guy Fawkes Night
 英国の火薬陰謀事件 ( Gunpowder Plot ) 記念日。英国国教会に絡んだ少しわかりにくい事件の記念日で、熱心なカトリック信者だったガイ・フォークスが、1605年、カトリックを弾圧する議会を爆破しようと国会議事堂の地下室に火薬を仕掛け、当時の国王ジェームス1世の暗殺を企てたが、発覚して捕まり、処刑されたという事件に因む。この事件はカトリック側の陰謀とされ、怒った議会が、翌1606年、記念日に定めたという。
「Guy Fawkes Night」の11月5日には、子供たちは町の通りなどにガイ・フォークスに見立てたぼろ人形を作って置き、大人が歩いてくると「ガイのために1ペニーのお恵みを」( A penny for the Guy )とねだったりする。そして、この人形に火をつけて焼き捨てる。当夜は、Bonfire Nightといい、花火を上げたり、祝いの大かがり火をたいて祭りを終える。

ダイエットと魔女

 ディズニー・アニメーションでは、良い魔女はふっくら型、悪い魔女は痩せ型という気がするが、古来、魔女は痩せているものとされてきたようだ。オランダで見聞きした話、恐ろしい魔女裁判が吹き荒れていた16世紀、貿易・商業で栄えていたオランダでは、市町村ごとに公式の計測所があり、穀物、羊毛などの産物や輸入品が計量されていた。この秤を使って魔女の体重も量っていたというのだ。当時の魔女とは「魔女の疑いをかけられた人」であり、一度疑いをかけられると晴らすことが困難というものだったのだが、この悪名高い魔女狩りで、ヨーロッパでは100万の人が殺されたとも言われている。
この魔女判定のひとつに体重を計る検査というのがあって、オランダでは計測所の秤を使っていた。この計測法の判定は身長から100を引いた数字以上に体重がないと魔女とみなすというもの。魔女は箒に乗って空を飛ぶために普通の人より極端に体重が軽いから、というのだ。
さて、オランダ中部のアウデワーターには、15世紀に作られたという秤が残されていて、見学者を計ってくれるそうだが、かつて、ここでは公平な計測が行われたために、ひとりも魔女と認定された人が出なかったという輝かしい歴史を持っている。果たしてあなたは魔女と判定されるでしょうか??


ベルギーのお菓子


ベルギーのお菓子

ALMOND THINS
アーモンドクッキー。
薄くて、パリンとして、歯ざわり良し。ザラッとした砂糖の残り具合と、スライスアーモンドの入り具合もデリケートで品のいいクッキー。


オランダのお菓子
Grote Stroopwafels
キャラメルの入ったゴーフル。固くてパリパリしているが、電子レンジでほんの数秒、加熱すると、ワッフルはしんなり、キャラメルはとろーりとなって面白い。東京でも輸入菓子店で見かけた。


オランダのお菓子


2002年11月20日(平成14年) 発行

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