味辞典

豆腐

大豆に含まれる蛋白質をニガリなどの凝固剤を使って固めた食品。
歴史的には古く、中国では2000年以上前から豆腐が作られたと言われているが、 文献上では唐代(618〜907年)中期以後で、広く一般的に広まったのは宗代からとされる説が有力。
日本に伝わったのは奈良時代とされ、当時は「おかべ」と呼ばれ、「壁」または「白壁」の文字があてられていた。
文献的には1183年、奈良・春日大社の神主の日記の中に見る事が出来る。 鎌倉時代から室町時代にかけては主に寺院の料理として広まり、 一般庶民が比較的容易に手に入れられるようになったのは江戸時代に入ってからといわれている。

豆腐の凝固剤
一般的には海水から塩分を抜き取ったニガリ(塩化マグネシウム)といわれているが、第二次世界大戦中はニガリに含まれるマグネシウムを軍事用(照明弾など)に使う為、軍の管理統制下におかれ、もっぱら石膏(硫酸カルシウム)を使うようになった。
豆腐作りに加える塩化マグネシウムと硫酸カルシウムの違いは、 硫酸カルシウムの方が柔らかい豆腐を作るのに容易であると言える。 すなわち、豆腐の温度管理が容易で多少温度が高くても凝固反応が穏やかな為、 素人でも簡単に作れる豆腐である。 また、水分を多く含む為、原料に対しての生産性に優れ、経済的な豆腐として、 大量生産ラインでは好都合であった。
しかし、豆腐自体の出来あがりは水っぽい豆腐になりがちで、 豆乳分が少ないだけ味としても旨味にかける。 従来のニガリを使った豆腐は大豆蛋白の旨味が生き、甘味のある風味豊かな豆腐に仕上る。
 
 
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