味辞典

海洋深層水

地球上の水の97%は海水であり、海洋学ではこの海水を浅い方から 「表層」「中層」「深層」「低層」と分け、「深層」は深さ3000m−5000m程度を指す。 海洋水はいくつかの流れを持ち、大きなものでは大西洋、南極海からインド洋、 北太平洋と流れる深層海流が知られている。 最近各地で脚光を浴びている「海洋深層水」の場合は、海洋学上の「深層」とは限らない。
ハワイでは水深600m位、高知県では中層から上昇する水深300mの水、 沖縄は中層と深層が混合した深さ1400mの水を汲み上げて研究している。 便宜的に光合成に必要な太陽光が届かない深さの水を「深層水」と呼んでいる場合が多い。
海洋深層水の研究は1970年代のオイルショック時にハワイ島で深層水の冷たい水を利用した「温度差発電」を試みたのが始まり。 この副産物として「冷たい」という性質以外に「栄養塩が豊富」「菌が少なくて清浄」 という特質が発見され、深さ約600mから汲み上げられた海水を水産や農産分野で利用し、大きな成果が上げている。
日本での研究は1980年代半ばからで、高知県などで深層水の栄養塩を海藻や 魚類の養殖に生かす研究が始まった。 1990年代後半から食品や化粧品への応用が進み、現在では 飲料水、酒、豆腐、化粧水など多くの分野で商品化され、 アトピー性皮膚炎の治療に応用する研究も進められている。
 
 
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